皆福地下ダム(みなふく)
こちらの皆福地下ダムは、宮古島の地下ダムの中で古く、1977年に着工し1979年に地下ダムとして完成しました。
このダムが出来るまでは地下ダムとしての情報データがまったく無く、皆福ダムはいろいろな工法を採用し、ひとつひとつ比較検証試験を行いながら建設された実験地下ダム。
建設された後は揚水試験を行い、ダムの止水機能や琉球石灰岩の貯留効果などを調べたりと沢山のデータを取ることが出来たため、他の2つの立派な地下ダムが出来たともいえます。
そう、このダムは地下ダムの基礎となる大変重要な地下ダムなのです!
ですが残念なのが、大変重要なダムと言ってもまったく見えないところ(汗)
そして、この皆福地下ダムには宮古島の人々の生活をガラリと変えたエピソードも。
前回もご説明いたしましたが、「宮古島はさんご礁が隆起した島」と言うこともあり、化石化したさんご礁は琉球石灰岩と呼ばれ、スポンジ状の穴がぽつぽつと空いた岩になります。この琉球石灰岩は透水性が高く水が通り抜けやすい地質です。
さらに、雨が多く降る島で、台風やスコールなどが多く、東京の年間平均降雨量が1600~1700mmに対して宮古島は2200mmと多くなっております。
そして何より宮古島は年中暖かい亜熱帯気候。
つまりなにが言いたいのかというと、雨が多く降るわりに地質の影響により地上に降った雨の内50%は地層を通り、海へ流れて行ってしまい、40%は亜熱帯気候のため蒸発してしまいます。残りの10%程度の水で人の飲み水、植物への農業用水に使用しなければなりません。
昔の宮古島の人たちは飲み水のため、作物のために雨水を瓶に溜めたり、井戸で水が汲める場所まで何度も取りに行ったりと、かなりの重労働をしなくてはなりませんでした。しかも水を汲みに行くのは女性や子供の仕事だったそうです。
そこで、この窮地を救うため建設されたのが皆福地下ダムなのです。
皆福地下ダムが出来るにあたって、ハワイ州ホノルル市水道局水利地質技師だったジョン・F・ミンク氏が宮古島に訪れ、宮古島には相当量の地下水があると言う水資源についての報告書を提出し、宮古島とハワイの気候、雨量等を比較、島の地質を調査し、宮古島の地下には多量の水があるのでそれを上手く利用して開発をすることによって干ばつの不安を無くすことが出来る。と公演したことと、1972年に本土復帰を契機に「畑に水を若人に夢を」をスローガンに島民が集結し、国や県など関係機関に繰り返し陳情し、それにより皆福地下ダムが建設されたのが始まりです。
この皆福地下ダムが建設されたおかげで、さらに大きな地下ダムも建設され、飲み水や農業用水が確保出来たことにより、干ばつ被害にあったサトウキビは復活を果たし、畑を増やしていき、現在では葉たばこやマンゴー、かぼちゃなどの野菜も生産しております。
全てはこの皆福地下ダムのおかげなのです。
そして、この皆福地下ダムがある場所には、世界初の地下ダムが建造されたことや、宮古島の水資源を確保出来たことへの記念などの意味を込めて皆福地下ダム公園があります。
公園の中央には大きな噴水や